top of page

面白法人カヤック様 SOUNDカード™体験セッション&インタビュー

SOUNDカード™だからこそつくれる、「新しい話し合いのデザイン」とは 。
~面白法人カヤック様と解き明かす、SOUNDカード™の本質と可能性(3)

INDEX

1.「少しの準備でかなりのレベルまで会議を持っていける」って本当に?

2. SOUNDカード™はファシリテーターの「金棒」になる 

3 .話し合いの3 つのポイントと、コントロールの秘訣とは 

4 .会議内の見えない権力を解体するには

5 .暗黙知依存が生む「行き詰まり」を解消する方法とは  

6 .おわりに 

4.会議内の見えない権力を解体するには

― 少し設計思想をご紹介すると、グループダイナミクスもテーマになっています。 

声の大きい・小さい、年齢やジェンダーなど様々なグループダイナミクスが「権力」という形で微細に生まれていきます。 
ファシリテーターは、話し合いのコンテンツではなくプロセスに注力することで、グループダイナミクスを次の段階に引き上げる役割を担うと考えています。その時のポイントは「皆の声がちゃんと出せるか」。 

ただ厄介なのが、「皆で話しましょう」と言って、一人ひとりに発言を振ったところでまともな形になるとは限らない。かえって多様な意見が出すぎて、まとまりが作れなくなり、中央集権と分散の二律背反みたいなことが起きてしまう。 

その中央集権と分散が揺れうごき、時には偏りが起こるのが「場」だとして、それをどのように超えていくのかが重要です。 

このカードは自分で話したいこと、問いを選ぶ権利が一人ひとりにあり、自分のペースで話せるようにすることで「発言の権利」を与えているのと共に、話を共有することと、まとめるプロセスを分けたことで、「話してばかりの人」「意見をまとめるだけの人」とならないようにとしています。それは、Status、Outcome、Understand、Negative check、Driveの5つのプロセスに分けていることでも実現できていますね。 

加えて、SOUNDカード™が出来上がってから気づいたことなのですが、「問う」ことには権力が発生するんです。問う人・問われる人の二者の関係が生まれたとき、問われる側には「問いを選ぶ権利」が無い。「その問いは嫌いです」「答えたくないです」とは言えないし、“すぐ答えなきゃいけない”というプレッシャーにさらされるので時間の猶予もない。「問われる」関係とはすごく不自由であると気づきました。 

SOUNDカード™のプロセスで、問いを選ぶ権利と回答をする猶予を回答者たちに渡す構造をつくることで、その権力を分散させることができています。そして、これらの積み重ねによって、チームビルディング、議題の進捗、「話せた感」の実現を支えているんです。 

 

丹治さん: 今のお話を聴きながら、先ほども出てきた新規事業のところでNegative Checkのステップをやったときのことを思い出しました。「この問いは、本当はこの人に答えてほしい」と言い出したメンバーがいたのをきっかけに、「何枚か選んで、『この人に答えてほしい』とカードを渡してください」という形式でやってみたんです。結果、違う観点での答えが出てきてプロセスが非常に深まりました。 

 

柴田さん: その人たちは、答えられるかどうかではなく、関心事で選んでいるんだろうね。 

 

丹治さん: 恐らく。関心事と、答えられるケイパビリティは違うでしょうから。なので、その場は「答えてもらえる人にカードを選んで渡す」方法がとても使えました。 

 

― 実はNegative Checkのプロセスには元々その発想があります。ただ、その人に答えてほしいカードを選んで渡す、いう方法ではなく、まずは自分で答えられるものを複数枚選んだ中から、周りの人が答えて欲しいものを1つ選ぶ、という方法にしています。最初から答えて欲しいカードを渡す方法ができるのは、さすが、カヤックさんの心理的安全性の高さがあってこそですね。 

また、関心とケイパビリティが違うという話がありましたが、これは同調圧力に“ノー”と言う機会を与えています。 

Status、Outcome、Understandのステップがありますが、Understandの「構造と、そのねらい目」を見るステップはフラストレーションが高まりやすくなる分、その後のステップを「えいやあ」で決めてしまうことがある。同調圧力に負けて、議論や検討から逃げちゃう人が多いんです。 

そしてそれは新たな抵抗勢力、すなわち新たな権力を生むことに繋がります。Negative Checkは、同調圧力に負けずに、「何か、気になっていることがあるんじゃないの?」ということを出してもらうためのものなんです。 

丹治さん:設計思想にあるのであれば、手のひらの中にいたんですね。(笑) そして、それはフラットで権力構造がない形だからできたことでもあると。 

― そうです。そして、丹治さんが仰った「議題を選ばない」「チームの状況を選ばない」というのは本当に素晴らしい洞察です。 

権力構造によるプロセスのパターン化は組織文化に依存することもあります。 

例えば、「カヤックらしくないことを避ける」ということですね。 

グループダイナミクスは強みにもなるが、足かせになる時もある。そこを超えるために、いかに多様な声を場に出せるかがポイントになってきます。 

写真6_インタビュー時2.JPG

NEXT

bottom of page