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<Cさんのケース>

会議名称  :エンゲージメント向上活動月例会議

参加メンバー:人事部門の若手~中堅社員4名

所要時間  :90分

全社のエンゲージメント向上活動の推進チームリーダーの2年目。当初は社員の働き方を充実させたいと張り切っていたが、実際に施策を打ち出しても社員の関心が低く、改善が進んでいる手ごたえが感じられない。最近の月例会議では形式的な活動報告と、目標が見えないまま翌月までの活動内容決めになっている。

何のためにこの活動を続けているのかに立ち戻りながら、メンバーのモチベーションを高めて、具体的な活動内容を決めていきたい。

Case03

マンネリ化したエンゲージメント向上活動

進め方のポイント

①エンゲージメント向上の施策ではなく、社員が困っている、何とかしてほしいと思っている課題を取り上げることで、メンバーの参画意欲を高める

②個別の問題対応や表面的な対症療法にならないように、メンバーが共通して実現したいのはどんな状態なのかを話し合い、チームとしての「願い」を見える化する

 

③会社や職場の文化・慣習として、諦めや見て見ぬふりとなっている事象にメスを入れるように働きかけながら、一筋縄ではいかない状況にメンバー全員が向き合い続けられるように支援し、困難を乗り越える同志としての絆を育む

SOUNDカード™の基本動作

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カードを並べて選ぶ

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選んだカードについて話す

ミーティングの流れ

リーダーの想いや会議の目的・ねらいを共有する

趣旨説明

(2分)

エンゲージメントを高める施策を考えるという意図ではなく、社員一人一人の仕事の充実感と高い成果の両立を可能にする施策を、「ここに集まったみんなで考え、創り出すきっかけにしたい」という意図を伝える。

今の正直な気持ちを一言ずつ話す

チェックイン

(3分)

エンゲージメント向上の活動は、参画メンバーにとって本業とは関係のない「余計な仕事」に感じがちで、こうしたネガティブな感情は、隠そうとすればするほど継続しやすくなります。無理に本音を言わせようとせずとも、少しずつ正直な気持ちを出せるように工夫して進めることで、メンバー同士が身近に感じて本音を打ち明けやすくなる雰囲気を育てます。

Step00

Agenda

(10分)

会議のアジェンダ(議題)を決める

エンゲージメント向上の施策を考えるという議題の場合、表面的なあるべき論が語られるだけになりやすくなります。参画メンバー=会社の一員として捉え、一人一人が感じている問題意識や困りごとが、同じような境遇の他の社員でも起きている可能性が高いので、「自分ごとは、みんなごと」としてそれぞれの関心事項をもとに、議題を決めていくようにします。

Step01

Status

(15分)

問題の見える化と安全な場をつくる

エンゲージメント向上活動に対するメンバーの意欲を高めるには、普段からエンゲージメントのことが頭の片隅にあることが重要です。「自分ごと」として継続的に関わってもらうために、どんな問題意識であっても表に出して共有することに価値があるという前提をつくりながら、まず問題意識を見える化し、一人一人がどのように感じるか、というステップを丁寧にたどることで、お互いが共感し合える安心感を育みます。

Step02

Outcome

(15分)

活動を通じて実現したいビジョンをつくり出す

ここまでのステップで共有された問題に対して、全てを解決しようと個別に深掘りをすると、本質から外れた議論が続き、優先順位が付けられないまま話し合いが堂々巡りになる可能性があります。何が本当に大切なのか、どれが優先順位の高いことかを判断する土台をつくるために、エンゲージメント向上活動の先に自分たちがどんな未来を実現したいのかを話し合うようにします。

Step03

Understand

(20分)

活動の肝となるねらい目を見極める

実現したい未来と現場で遭遇する問題とのギャップが明確になった際、出てきた課題を分担すれば解決できることもありますが、実際の課題は「あちらを立てればこちらが立たず」といった複雑で根深い場合がほとんどです。どんな要因がどのように影響し合っているのかを紐解くようにみんなで話し合い、影響し合っているポイントとなるようなねらい目を、取り組む課題として設定するように働きかけます。

Step04

Negative Check

(10分)

施策に対する抵抗要因を洗い出す

エンゲージメント向上の活動は、参画メンバーの本業と直接的な関係が薄ければ薄いほど優先順位が下がりやすく、周囲の理解や支援を得にくいことが気持ちを萎えさせ、取り組みに対する熱量が下がりやすくなります。そんな「社内活動あるある」をメンバー全員で出し合って、どんな手を打っておけばいいのか、誰にどんな協力を依頼すればいいのかについて、あらかじめ作戦を練るようにします。

Step05

Drive

(10分)

実際のアクションを選定し実行する

ねらい目と抵抗要因を考慮に入れながら、理想の未来の実現に向けて具体的に何を手がけるかを話し合い、メンバー全員が合意できるよう働きかけます。ここで重要なのは、あれもこれもと無理に活動を詰め込むと、優先度が下がりやすい上に負担感が強まりやすくなります。リストアップしたアクションを、重要度と影響度の2軸で整理し、1~3個程度を選択して施策として何をするのかを決めていきます。

チェックアウト

(5分)

会議の振り返りとハーベストを共有する

エンゲージメント向上活動の命とも言える「継続性」を持続するには、メンバーが参加して良かったと思えるクロージングが重要です。それには、メンバー自身の好奇心・学習欲が満たされている、みんなで取り組めた充実感がある、貢献意欲が満たされている、この活動の先に明るい未来への期待感がある等が、継続性の動力源になります。こうした意図を持って振り返りを行うことで、会議前よりも会議後の方が、メンバー自身が元気になっている状態を生むようにします。

マンネリ化プロジェクトチームの特徴

1.形骸化しやすい、本業と異なる推進活動

エンゲージメント向上のような活動の優先度が下がりやすくなる理由の一つは、推進活動自体がメンバー自身の本業と関連性が薄いからです。これは、自分の本業に差し支えがないように、各自が少しずつ手を抜く「集団的手抜き」に繋がりやすくなります。推進チームの立ち上げ当初は、貢献意欲や責任感のある一部の人がなんとかしようと頑張りますが、時間が経つにつれて孤軍奮闘感が増していき、その人のキャパシティを越えたところで、活動は停滞するようになります。

プロジェクトのチームリーダーはメンバーに対して、推進チームとしての体裁を整えながらも、活動が形骸化していくことを避けるのは非常に難しいことを、率直に示しておいた方が良いでしょう。

2.会社への関心の低さが引き起こす、モチベーション低下

そもそもエンゲージメント向上活動が必要とされる理由は、エンゲージメントサーベイの結果が思うように良くならないので、活動がスタートするケースがほとんどです。経営陣からは、社員のエンゲージメント低下が経営の根幹を揺るがす問題として見えています。一方で当の社員はというと、自分の本業との関連性が薄い上に、働き方の多様化や人材の流動化によって「就社意識」や「帰属意識」が薄れていることで、そもそも会社を良くしていくことのモチベーションが、以前よりも上がりにくくなっています。こうした社内での注目度の低さがメンバーのモチベーションを下げてしまい、「社員のために頑張って活動をしている」意識の高いメンバーほど「いくらやっても変わらない」という徒労感や無力感が高まりやすくなります。そして「なんで会社のためにこんな思いまでしないといけないんだ」と、会社のことが嫌いになる可能性があります。

エンゲージメント向上の活動は、経営陣の継続的で一貫したコミットメントが欠かせない上に、推進チームのメンバーたちに適切に評価され、スポットライトが当たるように心がけることが必要です。

3.越えられない全社展開の壁

本来、エンゲージメント向上の活動は、全社に展開してこそ効果を発揮します。ところが、エンゲージメント向上は「やるに越したことはない」活動に見えてしまうので、全社からの協力が得られにくくなりやすい傾向があります。さらに、推進チームのメンバーが無理に活動を前進させようとしたり、そもそも全社を巻き込むスキルや人脈を持っているとは限らなかったりすると、目先の結果を求めて個別問題の対処をしやすくなり、結果的に他の社員から「何かやってるね」くらいの認識しか生まなくなります。

エンゲージメント向上の活動を全社展開する鍵は、施策をすぐに全社にリリースしようとするのではなく、推進チームのメンバー自らが現場に出向いてヒアリングをし、そこで知り合った社員とちょっとした依頼や困りごとを相談し合えるような、地道でこまめなやり取りを続けることになります。エンゲージメント向上の施策という「アウトプット」ではなく、やり取りの中での「プロセス」に重点を置くことで、全社展開に繋がる土壌ができていきます。

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