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卒業生の事例紹介#9 文脈は「共有」するものから「共創」するものへ ~「アクセルを踏む」だけではなく、「ブレーキを解除する」ことがベンチャー企業にもたらす影響とは?

2024年12月24日




SOUNDコーチ養成講座卒業生に、その後のSOUNDカードの活用ぶりをお聞きする事例紹介コーナー。 第9弾は、株式会社ポテンシャライトの山根さんに自社や支援先のベンチャー企業においてどのようにSOUNDカードを活用されているかお聞きしました!



インタビュイー 株式会社ポテンシャライト 代表取締役 山根さん

■インタビュイー:山根一城さん 

株式会社ポテンシャライト代表取締役。スタートアップ/ベンチャー企業を対象としたHRパートナーとして採用ブランディング・人事採用支援などを手掛ける。70名を超える社員をリードし、様々なシーンでSOUNDカードセッションを実施。 

 

 

【「これ、全部ウチの会社で起きているやつだ」】 

 

―山根さんの会社は、元々どのような組織文化だったのですか?  

2023年の夏頃までは「若いときこそ成長を目指して頑張るべきだ」「今やらないでどうするの?」という風潮でした。チャレンジすることが当たり前で、休まずに自己研鑽に励む人が偉い、という感じです。その考え方は悪いわけではなく、「自分を律したい、高めたい」という意識の強いメンバーが集まってできた会社だったので、その環境でみな気持ちよく働いていました。 

しかし、次第にメンバーが増えていくうちに、無理をする人も出てきました。そのことが知らず知らずのうちに組織のコミュニケーションに良くない影響を及ぼしていたのだと今となっては思います。自分が無理をして頑張っていると、「俺はこれだけ頑張っているのに、なんであの人のほうが評価されてるの?」と、どうしても他人の評価との比較が気になってしまう。。そんなことが陰で話されていると、耳に入るようになってきたんです。 

 

加えて当時は数年で会社を辞めてしまう社員も少なからずいました。もちろん要因は色々とあるのでしょうが一つは本音で話せていなかった、ということもあったと思い、社内でのコミュニケーションの透明性を高めるにはどうすればいいのか?ということを模索しているときに、SOUNDカードに出会いました。 

 

 

―どのようなきっかけでSOUNDカードをお知りになりましたか? 

私たちの会社のメンバーとの対話にSOUNDカードを使っているコンサルタントの方がいらっしゃったんです。そのときはなんとなく「面白いツールだな」と思ったくらいでした。それから自分で調べて、講座を受けてみることにしました。 

 


―講座を受けてみていかがでしたか? 

「ちょっと覗いてみるか」くらいの応募動機だったのですが、受講前に送られてきた事前課題動画がとても衝撃的で。これは本腰を入れねばと思いました。特に「組織で発生している問題のループ図」に衝撃を受けました。「これ、全部ウチの会社でも起きているぞ」と。で、受講後に、ある社員にもこのループ図を見せてみたら、その社員も「山根さん、言いにくいですけど、これウチの会社でも起きてますね」と私と全く同じ反応をしたんです。 

これは共通認識をつくる良い機会だと思って、他の社員にもこのループ図を見せながら「この状態を解決するためのツールだよ」とSOUNDセッションに誘っていきました。 

 

 

【文脈共有と文脈“共創”の違いを実感】 


―実際に社内でSOUNDセッションをやってみて、いかがでしたか? 

 

さまざまな気づきがありましたが、一番の発見は、当社は文脈“共有”の組織文化だった、ということです。 

これまでに、メンバーの当事者意識を感じづらいと思うことがしばしばあったのですが、それはトップである私が考えたものを、メンバーに共有・浸透させる文脈“共有”文化が引き起こしていたのだと気づかされました。というのも、社内で実施した最初のSOUNDセッションは「会社で皆さんが創造したいことは何か」というアジェンダで話し合ったのですが、みんなからどんどんいろんな話が出てきて。その様子はまさに“共創”だったと思いますし、参加したメンバーからは「自分の意見が反映されていくことで、できあがったステートメントに愛着が湧いてきました」という言葉をもらいました。“共有”することと“共創”することは全く別物だというのが私の最初の気づきでしたね。 

 

それに加えてSOUNDカードがすごいのは、無意識にある「思い」「考え」すらもカードが引き出し、創発してくれるという点でしょうか。1on1ミーティングでも使ってみて、相手の内面を深く知りたいときに、SOUNDカードは非常に有効だと感じました。 

 

―その後も様々なシーンでSOUNDカードを使って頂いていますよね。どのように展開されていったのですか? 

 

SOUNDカードの可能性を感じて、思いついた使い方を全部やってみようと、いろんなパターンで使ってみたんですよね。1on1でも「行動のブレーキになっている“こころのつかえ”を見つける」パターンもあれば、「一緒に未来を照らしていく」パターンもありますし、新しく入社したメンバーと上司の間に私が入って「2on1」でキックオフ的に使ってみたり、逆に成熟しきった関係性に変化を加えるような使い方、お互いにモヤモヤを抱えている関係性で対話するときもある。そして、その多くのパターンでSOUNDカードは有効であることが見えてきました。 

 

―すごいですね!全部実践してみようとするところが山根さんの強みでもありますね。1カ月くらいの間にSOUNDを集中的に使ってみたとのことですが、何か変化はありましたか? 

 

特に若手から中堅クラスのメンバーへの影響が大きかったようです。プロジェクトやチームのあり方、戦略や戦術に対して自分の意見を反映できることに喜びを感じて、主体性が出てきたように感じました。また私自身も、共創が生まれるためには安心して意見を言える状態が大切だなと再認識できました。 




 


【問題を“再定義”できるところがSOUNDセッションのすごさ】 

 

―様々な試行錯誤も経て、今はどのように使われていますか? 

社内で一番使っているのは私なんですが(笑)リーダー陣やメンバーもよくSOUNDカードを使っています。答えが見えにくい課題に直面した場面ではSOUNDセッションをやってみよう、と思いますね。あとは、お客様との対話で、これまで見えていなかった課題や、ビジョンを創発したいという場面でSOUNDカードの問いを借りることもあります。 

 

―具体的にどんな効果があったりしましたか? 

 

例えば、最近は「人はなぜ徐々に成長意欲を失っていくのか?」というアジェンダでSOUNDセッションをしました。当社は、個人のチャレンジや成長を大切にできている会社だと思うのですが、それでも「やらなければならないから」という仕事も増えていきます。入社当初はすごくやる気があったのに、2年目くらいで徐々にやる気を失っていくメンバーもいるように感じ、このテーマに取り組みました。結果、Outcomeステートメントとして生まれたのは「誰しもがチャレンジをしたいと思える環境で、努力が報われた結果、他者貢献と自己実現を両立する未来を実現する」という言葉でした。それを実現するカギを次のUnderstandのステップで探求していったところ、「相互補完」と「自己理解」というキーワードがフォーカスポイントとして見出されていったのが、とても面白かったです。 

 

まず「スポーツチームみたいなチームっていいよね」みたいな意見から始まり、「関係がギスギスしたチームで、成長意欲なんて湧くわけないよね」といった話になりました。「じゃあ、スポーツチームの良さはどこにあるのか?」という問いが生まれ、「相互補完するところ」という話になり、「相互補完するためには、相互理解が絶対に必要だよね」と展開して、最後は「相互理解の前に、自分のことをどこまで理解しているのだろうか?」というところまで、たどり着きました。 

 

成長意欲の低下という問題は、どうしても周囲の環境に原因を求めてしまいがちだと思うのですが、最後には「いかに自分自身を理解するのか?という問題だったんじゃないか」とみんなで気付くことができたのは、SOUNDセッションの凄いところだと思います。 




 

 

【「アクセルを踏む」だけではないベンチャー成長支援の可能性】 

 

―今後の活用法として、何か考えていることはありますか? 

 

「心の声を聞く」という姿勢を、特にリーダー以上のメンバーには持っていてもらいたいと思っています。とはいえこれは口では言うのは簡単ですが、実践するのは相当難しい。自分らしくいられないこともあると思うのですが、SOUNDカードというツールによって、自分と向き合うきっかけになるのではと思います。 

 

あとは、当社では様々なプロジェクトが頻繁に立ち上がるのですが、そのキックオフなどでも使っていきたいです。タスクフォースなど横の連携を図るときなどに、まずSOUNDセッションをしてメンバーの意思疎通をしてほしいと思っています。 

 

―タスクフォースのキックオフにSOUNDセッションを使うのはいいですよね。どのようなことを期待されてますか? 

 

SOUNDセッションでは、Understandのパートが重要な意味を持つと思っています。Understandでは、過去のエピソードやその背景などもじっくり話し合うことができるのですが、チームメンバーがそれぞれの「心の引っかかり」を理解し合い、チームのブレーキポイントになりうる点を事前に共有できることが、チーム運営に大きな効果をもたらすと思います。特にタスクフォースのような急ごしらえのチームでは、そのような相互理解が欠かせないと思うんですよね。 

 

―まさにチーミングですね。SOUNDメソッドの考え方は、貴社の事業を進めていくうえでも役立つことは何かありそうですか? 

 

私たちの会社のミッションは「Grow Up Ventures」、ベンチャー企業を成長させていくことなのですが、ベンチャー企業は本当に「スピードが命」なところがあって、タイミングを逃すとあっという間にライバルに抜かれてしまいます。そのためか、ベンチャーは「早く早く」と“アクセルを踏む”ことばかりに意識が向きがちですが、実は、例えば人間関係で互いの足を引っ張り合い、うまくいかなかくなるようなベンチャーも少なくないんです。つまり、自分たちに“ブレーキ”が掛かって停滞していることに気づかないままで、その上からもっとアクセルを踏もうとしてしまう。そうすると、益々うまくいかなくなるんですよね。 

 

そういった課題をSOUNDカードで紐解いて、解決に導いていくことができるのではないかと期待しています。SOUNDカードを通じて、ビジョンに向かってアクセルを踏むこともできるし、ブレーキになっている何かを外してあげることもできるのではないかと。SOUNDカードにはそんな大きな可能性があると感じているので、ベンチャー企業界隈でも、もっともっと普及してほしいと思いますね。 

 

―なるほど!お話を聞いて、私もSOUNDカードの可能性がさらに広がったような気がします。本日はありがとうございました! 

 

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