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SOUND認定コーチの事例紹介 #1

SOUND認定コーチであり、養成講座の講師も務める中土井 僚による、実践事例の紹介とその体験を通して生まれた「SOUNDメソッド×SOUNDカードが生み出す価値」についてご紹介します!

 

先日、某大手企業で、新規事業を担当されているマネージャーの皆さんにSOUND カードセッションをさせていただきました。

同じ部署であるものの事業が異なることから、今まで一度も一堂に介して話したことがなかったという皆さんでしたが、2時間でアウトカムステートメントをつくり、構造の洞察まで行ったところでネクストアクションまで生まれました。


「全然違う事業なのに、悩みが同じだとわかってよかった」

「普段全然話しをしていなくても、短い時間で対話が成立して驚いた」

「普段、部下とミーティングをする際に、上司である自分がアジェンダを持ってしまっていることから、自分の結論に引っ張ってしまっていた。SOUND メソッドとカードを使うと、部下に話してもらうところから話しを組み立てられるのが新しいとおもった」

「合意形成にやり方があるということ自体が希望だった」

という言葉をチェックアウトでいただきました。 



「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに、人の世は住みにくい」 とは夏目漱石「草枕」の冒頭に出てくる名句です。 これは、人が協働していくことの難しさを表していると思います。 そして、私が生業とさせていただいている組織開発はまさにこの「住みにくさ」をなんとかしながら、組織内での協働を可能にしようとしている試みだともいえるでしょう。

こうした「住みにくさ」は、人と人が関わりあうことの難しさの現れであるともいえます。 そのため「住みにくさ」を乗り越えながら、協働を可能にしていくためにも、「対話」が重視されやすくなります。 特に、私も含めた対人支援の関りを持つ人であればあるほど、「対話」の必要性や重要性を強調しやすくなりますし、「対話」が全ての解決策だとは言わないまでも、その可能性を信じているのではないでしょうか。


しかし、コミュニケーションが成立しなければそもそも協力のしようがありません。 そして、単に情報共有したり、議論を交わしたりするというコミュニケーションのレベルであれば解決できない問題であればあるほど、ひざを突き合わせて粘り強く話し合う対話は欠かせないものになっていきます。

従って、


「対話」が全ての解決策だとは言えないものの、複雑な問題であればあるほど、協働の前提となる


ということです。

しかし、対話には構造的な限界とそれによって生じやすい問題があります。 (より正確には、対話の側に問題があるというより、人間の側に認知的、心理的、能力的な限界があるために、対話の限界を生じさせてしまうと述べた方がよいと思います。 とはいえ、話がややこしくなるので、ここでは対話の構造的限界とその波及によって生じる問題としましょう。) 対話の構造的な限界とは、対話の価値が生まれ、その価値を体感するまでに、時間がかかりやすいことにあります。

これは次から次へと解決の難しい問題が新たに生じ続ける時代においては、この構造的な限界は、かなり致命的です。 それに追い打ちをかけるように、「タイパ(タイムパフォーマンス)」と呼ばれる時間対効果の判断で、瞬時に見切られてしまう時代においては、対話の価値が生まれる前に早々に見切られてしまうことになります。

さらに、その構造的な問題によって新たな問題も生じます。

それは、「対話は無用の産物である」という認識が主流になることです。


結局のところ、タイパの悪い対話の機会に呼ばれては、価値が生じる/価値を体感する前に早々に見切りをつけられるということを繰り返されれば、「対話は役に立たないもの」と認識されるのも無理はありません。 それは、「歯槽膿漏で歯茎がやせる」のと同様に、「協働の土台そのものを削っている」ことになります。 ファシリテーターとして組織開発に関わらせていただくようになってから約20年になりますが、この「タイパとの戦い」をずっと続けてきたと言っても過言ではありません。 そして、厄介なことに、タイパを高めようとすればするほど、ファシリテーターとしての介入の度合いが深くなることを意味することになります。 それは、ファシリテーターである私の存在自体によって場が左右されるというジレンマも抱えることにもなります。


ちょうど一年前に、SOUNDメソッドとSOUNDカードをリリースいたしましたが、実は私は当初「ファシリテーションのサポートツール」という位置づけにしか思っていませんでした。 しかも、ファシリテーター初心者向けのための補助輪という感じです。


しかし、冒頭にご紹介した企業様でのSOUNDカードでのファシリテーションを行わせていただいたことで、視点が切り替わりました。


たった2時間しかない状況の中で、これまで一堂に会して対話をしたことがなかった方々が、対話の価値を実感し、全員が納得する形で自らネクストアクションを生み出す状態にまで到達している。 20年試行錯誤を続けてきた私のスキルをもってしても、このパフォーマンスに到達することはありませんでした。


単なる初心者向けのツールとして生み出したはずのものが、私のファシリテーターとしての限界を超える形でポテンシャルを引き出してくれるパートナーとなっている。

しかも、私がファシリテーターとしてかけた労力は、3分の1以下です。

「タイパ」が求められるが故に、協働の土台そのものが削られている時代に、SOUNDメソッド×SOUNDカードという組み合わせが本当にお役に立てることがあると強く実感した日でした。

この認識に立てたことで、 「私は『便利なもの』を生み出したのではなく、『可能性そのもの』を発明することが出来たのだ」 という思いに至れました。

 

「人と人が力を合わせる可能性を信じ続けたい」

 

そう願う全ての人たちにSOUNDカードをお届けしたい気持ちでいっぱいです。







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