2024年4月18日
SOUNDコーチ養成講座卒業生である、井尻 直美さんに自組織におけるSOUNDカード導入に関してのお話を伺いました! SOUNDメソッドを導入したことで組織に生まれた変化とは…? ぜひご覧ください!
■インタビュイー:井尻 直美さん IT企業にて、社内の業務改善・デジタル化を推進。
先輩社員の紹介でSOUNDカードに出会い、社内で開催されたSOUNDコーチ養成講座初級編を受講。
―井尻様がSOUNDメソッド® (注1) に出会ったきっかけは何ですか?
SOUNDメソッドとの出会いは会社の先輩の花房さんです。花房さんとは、これまでにも会社や組織に良い影響を与えていくことを一緒に手掛けていたので、最初に教えていただいた時は「また何か新しいことが始まるぞ」「遊び心が刺激されるものがきた」という期待が大きかったですね。その後社内で開催されたSOUNDコーチ養成講座に参加して少しずつ学んでいった感じです。
―SOUNDコーチ養成講座に参加した印象を教えてください。
養成講座に参加する前に4人の小人数チームで実際に体験した段階で個人的にとても関心があったのですが、実際の講座には私が所属する事業部の約160人のうち約30人が参加したことに驚きました。通常の研修の参加人数はもっと少ないだけに、約2割にあたる人数が集まったというのはインパクトがありましたね。
講座終了後には参加者から「後輩との面談の時に使ってみたい」「SOUNDカードを使うことでいろんな形のチームミーティングができそう」といった感想があって、開催に関われてよかったと感じました。
―2割ほどの人数が参加してくださった背景は?
これまでオーセンティックワークスさんにお願いしていた管理職研修の影響があると思います。管理職という立場上どうしても生産性や効率という点を意識しがちですが、管理職研修を通して「自分たちが本当に大切にしているものを創りたい」という共通意識が少しずつできていたのではないかと。
従来のスキル習得型の研修とは全く違うタイプの研修をしていただいたからこそ「もっと組織をよくしていきたい」という意識が芽生えたのだと思います。
―講座終了後、井尻さんはどのようにアクションを起こしたのですか?
所属している複数のチームのミーティングで、SOUNDカードを使って対話の時間を増やす試みをしています。月に1回対面で行っているチームミーティングは、リーダーからの周知事項の共有が主体で、メンバー同士での雑談も広がらないまま10分程度で解散というパターンがよくありました。けれどメンバーがそれぞれ時間を捻出して対面で集まっているのにもったいないと常日頃から感じていたこともあり、SOUNDカードを使って会話を増やすチャレンジをしたいとチームリーダーに提案し、昨年8月からスタートしました。
初回は、まずチームをよくするための話し合いを全員でやってみたいという私の想いを伝えました。すると「なるほど、やってみようか」とメンバーに納得してもらえました。前向きな雰囲気の中で始められたのはよかったです。
私たちの仕事は、通常お客様から受けたシステムの変更依頼を手順書に従って粛々と進めていくものです。しかし近年はお客様の事業規模がグローバルに展開しており、目指されているものも少しずつ変化しているので、私たちも今までと同じように指示に沿って対応するだけでは限界がありますし、お客様の真のニーズを把握して提案していくスタンスでないと最悪案件を失う可能性もあります。変化の速さを読み切れず、これまで担当させていただいていた仕事を丸々他社に依頼されてしまう事態もあり得ます。ですから、一回一回の営業活動というよりは、たとえばメールの送り方など日頃のお客様との関わりを重視する意識を私たち事業部全員が持っておくことが大切です。そのためには事業部のメンバーがお互いを理解し合う必要があり、SOUNDカードの導入はいい活性剤になると思います。
―SOUNDカードの導入を提案した後はどんな展開になりましたか?
提案はしたものの、SOUNDカード全部を一気に導入するのは難しいだろうと感じたので、まず緑のStatusカードを使って自由に話す練習を通して心理的安全性を高めることを目指しました。月に一回の対面ミーティング参加メンバーで、周知事項の共有が終わった後の余った時間を利用して、「チームについて」というテーマで1人数枚ずつカードを選んで話してもらうという形で進めています。
何度か繰り返したところでメンバーから「そろそろ違うカードを使ってみたい」という声が出たので赤のOutcomeカードを使ってみたのですが、あまりフィットしなかったので今はStatusカードに戻しています。色々試しながら進めている状態ですね。
―SOUNDカードを使うことで井尻さんとしてはどのような場や時間にしたかったのでしょうか?
参加メンバー全員が発言し、ミーティングに文字通り参加するというスタイルになることを重視しました。それまではミーティングに参加していても発言するメンバーが決まっていて、どうしたいのか、どうすべきかを問われても明確な答えが返ってこないという状態だったので、必ず全員少しでもいいから話したいことを話そうと。そして一人ひとりの発言に対して質問していく。
答えを出すよりも問いを出し続ける、それができて初めて「チームをいい方向に変えていきたい」という共通認識を持つためのスタートラインに立てるのではないかという思いでした。
―手応えはいかがでしたか?
私がいないところでもSOUNDカードが使われているようで、オンラインのチームミーティングでは雑談が増えたと聞いています。おそらくカードを使うことで自然と会話が生まれ、言葉を交わしやすくなったのではないでしょうか。
―4つのレバレッジポイント(注2)のうちどれが高まってきたと思いますか?
やはり心理的安全性ですね。これまでのチームミーティングは何となく発言しづらい空気があって、周知事項を共有したら10分前後で解散という感じでしたが、SOUNDカードを使うことで全員に発言する機会が生まれ、すると周囲が反応してくれる、そんな話しやすい雰囲気をつくりやすいですね。対面で使っているとメンバーが頷いたり相槌を打ったりする様子も見えますから、自分の話を聞いてもらえているという安心感は大きいと思います。
―「チームをいい方向に変えていきたい」というお話がありました。目指す方向性とはどういったものでしょうか。
チーム全体としてもっと自信を持ってやっていこうという雰囲気になることですね。持っているスキルやお客様を思いやる気持ちはすでに十分備わっているのですが、複雑な状況の中で、なかなか良さが活かせない場面もあります。チーム内でのコミュニケーションを増やして、連携をもっと上手くやる、これをやろうと決めてまずやってみる、自信を持ってやりきる、そんなマインドになればチームとしてとてもいい方向に向かうだろうと感じます。システム開発はストレスフルな業務なので、会話を交わすことでストレスが緩和され、メンバー全員で気持ちを高め合える雰囲気が醸成されていくきっかけを、私が提供できたらいいなと思っています。
―「チームで何かを創造する」と考えた時に思い浮かぶことを教えてください。
新しい仕事ですね。固定のお客様とずっと仕事をしていると、手順は同じなので問題処理に固執してしまい、新しいことを生み出そうという意欲が起きにくい気がします。今のお客様の案件をキープすることばかり考えず、メンバーそれぞれの強みやチームワークを生かした新しいことにチャレンジしたいですね。たとえばよりグローバルに展開できる仕事へのチャレンジなどは個人的に強い関心があります。世界は広く、お客様もグローバル化してきていることを考えるとチームのメンバーにとっても大いに刺激になるだろうと思います。
―今後SOUNDメソッドやSOUNDカードを使って実現したいことは何でしょうか?
今は対面のチームミーティングで使用していますが、労働組合などよりコミュニケーションを活性化させたい他の場所でもトライしてみたいです。コミュニケーションがスムーズになり接点が増えていくことで、お互いに何となく持っていた心理的な壁を取り払って、本音で話し合えるスタートラインに立てると思うからです。
そのためには、まず私自身がイニシアチブを持って進めることが大事だという自覚があります。「なぜこんなことをやる必要があるのか」と聞かれても答えられるよう、私の中で気持ちを高めておきたいですね。
そしてSOUNDメソッドに対する理解があるメンバーを増やしていくことも重要です。SOUNDメソッドを教えてくださった先輩の花房さんが4人の小さいチームから始めて徐々に浸透させ、最終的にSOUNDコーチ養成講座に30人集まったように、いきなり大きく始めずコツコツと共感してくれる人を増やしていきたいと思っています。
―本日は井尻さんのチャレンジを聞かせて頂きありがとうございました。
こちらこそありがとうございます。
注1:SOUNDメソッド®とは、次々と変化する状況や迫りくる難題に対して、関係する一人一人が当事者意識をもって課題解決に挑めるようにするためのノウハウや原理原則をまとめ、方法論として体系化した「チーミング」メソッドです。
注2:4つのレバレッジポイントとは①心理的安全性、②文脈共創、③当事者意識、④視座共進化を指します。説明は下記に記載があります。
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