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講座卒業生インタビュー vol.3 佐藤 淳さん

SOUNDカード™の肝はStatusで突破するパワフルさ。 ~地方自治体の実践例から~

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佐藤 淳さん

 

青森大学社会学部教授。早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員。1968年青森県十和田市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)入行。法人部門を中心に12年勤務後退職。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。専門は「地方自治」。地方自治体の人材開発、組織開発、地方議会改革、市民共創のまちづくり、地域のイノベーションのテーマで探求を行う研究者、実践者として活動中。

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セッションを始めてみると、早速Statusで新メンバーの素直な気持ちを聞くことができました。「なぜこの活動をやっているのかわからない」「なぜ自分が指名されたんだろう」「仕事の時間を削って参加するのは大変だ」……。まさに、SOUNDカード™を使わなかったら出てこないような本音の話が聞けました。当初のメンバーも想いを語ってくれて、メンバー全員がどのような気持ちで参加しているのか見えてきました。

Outcomeの展開は意外でした。Statusでネガティブな気持ちを話していた新メンバーが、前向きに未来の話をしていたのです。ステートメントが決まる頃には、そこに向かって皆でやっていこうという感覚がありました。新メンバーが参加したきっかけこそ指名だったかもしれませんが、Status、Outcomeと対話を進めた結果、「さあ行こう」と全員の覚悟が決まったように思います。

次のステップ、Understandでは、多くの視点が出てきました。幅広い意見があるなかで、具体的な焦点は明確にならなかったものの、皆で考えたOutcomeに向かっていくために少しずつ頑張っていこうという雰囲気で終えることができました。

 

― セッションを進める上でどのような工夫をされましたか?

実はこのセッションの前に、発足当初からいた2名の職員にはSOUNDカード™を体験してもらっていました。セッション冒頭では、そのメンバーから「これはすごいよ」と話をしてもらったんです。セッションでいきなりカードを見せてもドン引きされてしまう可能性が高いと思ってそのようにしたのですが、いざStatusから始めてみるとどんどん自分の本音を話してくれて引き込まれていく様子でした。

― 実際にセッションを行ってみて、SOUNDカード™の力はどこにあると思いますか?
 

SOUNDセッションの肝は「一気にStatusで突破できる」ということだと思います。カードによって本音が出てしまうことで、場が大きく変わりますね。SOUNDの流れを余さず取り組もうとすると時間もかかりますが、特にStatusとOutcomeは大事にしたいと思っています。Statusだけ丁寧に取り組んで、後は別のワークと組み合わせても良いくらいですね。


それこそSOUNDカード™を「問いの辞典」として使うだけなら、Statusのカードからファシリテーターが選んだ問いを場に投げかけるのもできるでしょう。しかしそれは、ファシリテーターのメガネに引っかかった問いを選んでいるだけなんです。ファシリテーター自身のメンバーに対する捉え方が影響してきます。

だからSOUNDセッションでは、たくさん並べられたカードから各自が気になったものを選んで喋るほうが良いのです。実際、「この人は今の活動に前向きじゃないんだろうな」と思っていたメンバーが、Statusで「(このアジェンダに関連して)楽しく感じていることは何ですか?」というカードを自ら選んで、活動の楽しさを語ってくれたこともありました。これは驚きでしたね。

Status以外のカードもそうです。各々がピンと来たものを選んで喋るという仕組みが、無意識に話したいと思っていたことを話させてくれて、本当にすごいなと思っています。

― 今後、SOUNDカード™をどのように活用していきたいですか。

これまでは、自治体職員もファシリテーションスキルを学ぶ必要があると考えて研修をしていましたが、今後は「まずSOUNDカード™を使っていきましょう」という話もしてみたいと思っています。政策検討会議でSOUNDカード™を使うとか、地域の観光振興を目指してSOUNDカード™を使うとか、これからの福祉を考える場でSOUNDカード™を使うとか……。当然、嫌々参加しているメンバーもいて、本音が出せない場でもある、そういう場でSOUNDカード™を使う価値があると思っています。

自治体で行うならば、「Outcomeステートメント」ではなく「我々の目指す姿」「存在意義」等に表現をアレンジして使った方が良いかもしれませんね。

 

― SOUNDカード™の購入・利用を検討している方に一言おねがいします。

まず、やってみてください。SOUNDを体験してみてください。

体験すればSOUNDカード™の力やパワフルさが感じられるので、一度騙されたと思ってやってみてください。特に、心理的安全性が簡単に突破できるのが強みです。普通の話し合いの場面だと出てこないメンバーの声が出てきます。話し合いの生産性が大きく上がると思います。

― 今回は貴重なお話をありがとうございました!

​■本インタビューは2022年7月28日に行ったものです。

― 普段のお仕事を教えてください。

 

青森大学社会学部の教授として、地方自治をテーマに研究しています。その中でも、地方自治体の人材開発・組織開発や地方議会の活性化がメインの研究実践テーマです。

そのために、大学で教鞭をとる以外にも様々な自治体で研修やワークショップをしています。たとえばワークショップのテーマになるのは、「地方議会の活動を活性化させるためには」「市民から意見を聞き取るためには」「実際に聞き取った意見をどう政策につなげるか」等です。役職者向けのマネジメント研修、若手職員のモチベーションアップ研修なども行っています。

― なぜSOUNDカードに興味を持たれたのですか?

SOUNDコーチ養成講座にもそのようなお話がありましたが、自分の中にも「ファシリテーションのスキルを身につけた人材を育てているだけでは間に合わない」という感覚がありました。自治体の数は全国約1,800ある一方で、自分は1人しかいない。私が行かなくてもファシリテーションできるようなツール、もっと簡単にファシリテーションを進められるツールがあればと思っていました。そこにSOUNDコーチ養成講座初級編の案内をいただいて、面白そうと思って参加しました。以前から地方自治体の組織開発に取り組むなかで、オーセンティックワークス株式会社の研修は度々受けていたんです。

さらに、SOUNDカード™そのものも興味深かったのです。カードを「問いの辞典」として使えると良いなと期待していました。

 

― 実際に、SOUNDコーチ養成講座初級編に参加してみていかがでしたか?

参加してみて、たしかに「問いの辞典」をもらったという感覚がありました。とはいえ、参加した直後は自分でセッションをやるまでの自信はなかったんです。自信が持てたのは、後日のフォローアップセッションでした。セッションの中で実際にSOUNDカード™を使ったファシリテーションをやってみたら、これができてしまったんです。この体験で、一気に「やれる」と確信しました。

心理的安全性を確保して、皆が思うことを話せるような空間づくりがファシリテーターやリーダーの役割だと言われますが、実際にそれを実現するのは至難の業です。それが、SOUNDカード™があることで言わざるをえないような感覚になります。本心で考えていることをカードに引き出される。

特にStatusのカードが強烈ですね。本当の本音の話――たとえば「実は乗り気でない」とか「実は嫌々やっている」とか――、心の中にあることが引き抜かれる感覚です。どのカードを選ぶかという点でも、その人の視点や気持ちが現れるように思います。

さらにOutcomeの段階でステートメントができた瞬間の、チームがぎゅっと一つにまとまる感覚も、とてもパワフルですね。

― SOUNDカード™の活用エピソードを教えてください。

最近では、青森県のある町役場で使ってみました。その町では、町役場の組織変革を担うコアチームが発足したばかりです。発足当時は2名の職員・私・町長というメンバーで取り組んでいましたが、今年から4名の職員が新たに参加してくれることになりました。そこで、コアチームの活動方針をアジェンダにSOUNDセッションをやってみました。

当初から参加していた2名の職員には強い想いもありますが、新たなメンバーは副町長から指名された方々でした。なぜ自分がコアチームに参加しているのかわからないメンバーや、チームの活動目的も腑に落ちていないメンバーすらいるように見えました。

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